2026年版・4-11

芳香族炭化水素の性質の一問一答

危険物乙4「危険物の性質・火災予防・消火」から、芳香族炭化水素の性質に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-11

トルエンの消防法上の分類および水溶性に関する記述として、正しいものはどれか。

  • 第1石油類の非水溶性液体に分類され、水にはほとんど溶けない
  • 第1石油類の水溶性液体に分類され、水にはよく溶けるとされる
  • 第2石油類の非水溶性液体に分類され、常温では引火しないとされる
  • アルコール類に分類され、水に任意の割合でよく溶けるとされる
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正解 第1石油類の非水溶性液体に分類され、水にはほとんど溶けない
解説
トルエンはベンゼン環にメチル基が1つ結合した芳香族炭化水素で、引火点は約4℃と低く、ベンゼンと同じ第1石油類に区分されます。水にはほとんど溶けない非水溶性液体であり、指定数量はガソリンと同じ200Lです。塗料用シンナーなどの溶剤として広く使われています。

試験の罠
第4類の水溶性物質はアセトンやピリジンなど一部の例外にとどまり、ベンゼン・トルエン・キシレンといった芳香族炭化水素は原則としてすべて非水溶性です。「〜ン」という名前の響きだけで水溶性と判断しないよう注意してください。

他の選択肢が不適切な理由
水によく溶ける水溶性とする記述は、トルエンがベンゼン環に炭化水素の枝がついた構造で、水とはほとんど混ざり合わない点と合いません。第2石油類で常温では引火しないとする記述も、引火点がおよそ4℃と常温を下回るため成り立ちません。アルコール類とする記述は、水酸基をもたない芳香族炭化水素である以上、その品名の定義から外れます。
問24-11

トルエンの引火点および発火点のおよその数値として、正しい組み合わせはどれか。

  • 引火点 約21℃ / 発火点 約300℃とされる
  • 引火点 約4℃ / 発火点 約480℃程度とされる
  • 引火点 約マイナス40℃ / 発火点 約90℃とされる
  • 引火点 約70℃ / 発火点 約250℃とされる
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正解 引火点 約4℃ / 発火点 約480℃程度とされる
解説
引火点が常温(20℃)を下回るため、冬場でも室温程度で可燃性蒸気が発生し、火気があれば容易に引火します。発火点はガソリン(約300℃)よりもかなり高く、これは物質ごとに引火点と発火点の高低が必ずしも比例しないことを示す好例です。

試験の罠
引火点が低い物質ほど発火点も低いと思い込みがちですが、両者は別々に定まる数値です。トルエンのように「引火点は低いのに発火点は高い」物質があることを覚えておいてください。

他の選択肢が不適切な理由
引火点を約21℃、発火点を約300℃とする記述は、発火点の値がガソリンのものに近く、トルエンの実際の値よりかなり低い数字です。引火点マイナス40℃で発火点90℃とする記述は、前者がガソリン、後者が二硫化炭素の値であり、まったく別の物質のものです。引火点70℃で発火点250℃とする記述も、常温では引火しないことになってしまい、実際の危険性を大きく見誤ります。
問34-11

トルエンの毒性および用途に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • 毒性はほとんどなく、食品添加物としても使用されている
  • 揮発性がほとんどないため、常温で吸入するおそれはほぼない
  • 吸入すると頭痛やめまいを起こし、シンナー等の溶剤として使われる
  • 皮膚や粘膜への刺激は一切なく、防護具なしで直接触れても安全である
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正解 吸入すると頭痛やめまいを起こし、シンナー等の溶剤として使われる
解説
トルエンは揮発性が高く、蒸気を吸入すると中枢神経に作用して頭痛、めまい、吐き気などの急性中毒症状を引き起こします。長期・高濃度の吸入は神経系に障害を及ぼすおそれがあります。引火点の低さと合わせて、換気の徹底と防護具の着用が欠かせません。塗料用シンナーや接着剤の溶剤として工業的に広く用いられています。

試験の罠
第4類危険物の蒸気は「良い香り」に感じられるものが多くありますが、無害という意味では全くありません。芳香=安全という思い込みは典型的なひっかけです。

他の選択肢が不適切な理由
毒性がなく食品添加物として使われるとする記述は、有機溶剤中毒の原因物質として管理されている実態と正反対です。揮発性がほとんどないとする記述も、常温で盛んに蒸気を出し、引火点が常温を下回るという性質と食い違います。皮膚や粘膜への刺激が一切ないとする記述も、直接触れると皮膚の脂を奪って炎症を起こすため、防護具なしで扱ってよい根拠にはなりません。
問44-11

キシレンの消防法上の分類に関する記述として、正しいものはどれか。

  • 第1石油類の非水溶性液体に分類され、水にはほとんど溶けない
  • 第2石油類の水溶性液体に分類され、水によく溶ける
  • 特殊引火物に分類され、発火点が100℃以下である
  • 第2石油類の非水溶性液体に分類され、水にはほとんど溶けない
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正解 第2石油類の非水溶性液体に分類され、水にはほとんど溶けない
解説
キシレンはベンゼン環にメチル基が2つ結合した芳香族炭化水素で、引火点はトルエンより高く常温(20℃)を上回るため、第1石油類ではなく第2石油類に区分されます。水にはほとんど溶けない非水溶性で、指定数量は灯油や軽油と同じ1,000Lです。

試験の罠
トルエン(第1石油類)とキシレン(第2石油類)は構造が似ているため混同しやすいですが、引火点の違いによって分類される石油類の区分が変わる点を押さえてください。

他の選択肢が不適切な理由
第1石油類とする記述は、引火点が21℃未満のものを指す区分であり、常温を上回るキシレンには当てはまりません。第2石油類の水溶性とする記述は、区分は合っていても水に溶けるという点が誤りで、指定数量の判断まで狂わせます。特殊引火物で発火点が100℃以下とする記述も、キシレンの発火点はそれよりはるかに高く、区分の要件を満たしません。
問54-11

キシレンに関する記述として、誤っているものはどれか。

  • 引火点は常温(20℃)より低く、常に引火の危険がある
  • オルト・メタ・パラの3種類の異性体が存在する
  • 特有の芳香臭を持ち、塗料やインキの溶剤として利用される
  • 液体の比重は1より小さく、水に浮く性質を持つ
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正解 引火点は常温(20℃)より低く、常に引火の危険がある
解説
キシレンの引火点はおよそ27〜33℃で、いずれも常温(20℃)を上回ります。そのため冬場の室温程度では引火点に達しにくく、加熱するなど液温が上がった場合に危険性が高まります。オルト・メタ・パラの3つの異性体があり、いずれも塗料・インキの溶剤として利用されます。比重は約0.86〜0.88で水より軽く、水に浮きます。

試験の罠
「芳香族炭化水素だから常に常温以下で引火する」という思い込みは誤りです。トルエン(第1石油類)は常温以下、キシレン(第2石油類)は常温以上と、引火点の水準が分類ごとに異なる点を区別してください。

他の選択肢が不適切な理由
オルト、メタ、パラの3種類の異性体があるという記述は、ベンゼン環に枝が二つつく位置の違いによるもので正しい内容です。特有の芳香臭をもち塗料やインキの溶剤に使われるという記述も、実際の用途どおりです。比重が1より小さく水に浮くという記述も、およそ0.86から0.88という値に沿っており、いずれも誤りではありません。
問64-11

スチレン(スチレンモノマー)の貯蔵・取扱い上、特に注意すべき性質はどれか。

  • 空気に触れると急速に分解し、猛毒のホスゲンガスを発生させる
  • 貯蔵中に重合反応で発熱するため、防止剤を加えて保管する
  • 常温で自然発火する性質があるため、必ず窒素封入下で保管する
  • 水と接触すると激しく反応し、可燃性の水素ガスを発生する
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正解 貯蔵中に重合反応で発熱するため、防止剤を加えて保管する
解説
スチレンは分子内に二重結合を持ち、時間の経過や温度上昇によって分子同士が次々に結合する重合反応を起こしやすい性質があります。重合が進むと発熱し、密閉容器では内圧上昇による破裂のおそれもあります。これを防ぐため、市販・貯蔵されるスチレンには微量の重合防止剤(禁止剤)が加えられています。

試験の罠
「重合による発熱」は、酸化プロピレンが金属と反応して起こす重合爆発とは原因が異なります。スチレンの場合は特定の金属がなくても自然に重合が進む点が特徴です。禁止剤を切らしたまま長期保管すると、重合熱による事故につながります。

他の選択肢が不適切な理由
空気に触れて分解しホスゲンを発生させるとする記述は、塩素を含む化合物に関する話であり、塩素を持たないスチレンには当てはまりません。常温で自然発火するとする記述も、酸化熱がこもりやすい乾性油などに見られる現象で、スチレンの主な危険は分子どうしが結びついて発熱する点にあります。水と反応して水素を出すとする記述は、金属ナトリウムなど禁水性物質の性質です。
問74-11

スチレンの消防法上の分類と主な用途の組み合わせとして、正しいものはどれか。

  • アルコール類 / 消毒用アルコールの原料
  • 第3石油類(水溶性)/ 不凍液の原料
  • 第2石油類(非水溶性)/ ポリスチレン樹脂の原料
  • 第1石油類(非水溶性)/ ガソリンのオクタン価向上剤
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正解 第2石油類(非水溶性)/ ポリスチレン樹脂の原料
解説
スチレンの引火点は約31℃で常温より高く、第2石油類の非水溶性液体に分類されます。水にはほとんど溶けません。工業的には発泡スチロールなどのポリスチレン樹脂や合成ゴムの原料モノマーとして極めて重要な物質です。

試験の罠
「モノマー(単量体)」という言葉から重合性を連想できるかがポイントです。原料としての用途と、重合しやすいという危険物としての性質はセットで理解しておくと記憶に残りやすくなります。

他の選択肢が不適切な理由
アルコール類で消毒用の原料とする記述は、水酸基をもたないスチレンには当てはまらず、用途も別の物質のものです。第3石油類の水溶性で不凍液の原料とする記述は、エチレングリコールの説明であり、引火点も用途も異なります。第1石油類でガソリンのオクタン価向上剤とする記述も、スチレンの引火点が常温を上回る点と合わず、用途としても実際のものではありません。
問84-11

ベンゼンとトルエンの毒性の違いに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • トルエンには毒性が全くなく、ベンゼンにのみ強い毒性がある
  • ベンゼンとトルエンはどちらも無毒で、吸入しても人体に影響はない
  • トルエンはベンゼンより毒性が強く、微量でも造血機能に障害を与える
  • ベンゼンは長期吸入で造血機能障害を起こし、トルエンより毒性が強い
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正解 ベンゼンは長期吸入で造血機能障害を起こし、トルエンより毒性が強い
解説
ベンゼンは長期間にわたり吸入すると骨髄の造血機能を損ない、白血病等を引き起こす危険が指摘されており、現在は使用が厳しく制限されています。トルエンにも頭痛やめまいを起こす中毒性はありますが、ベンゼンほどの強い造血障害は一般に知られていません。どちらも第1石油類の非水溶性液体であり、換気と防護具による対策が必須です。

試験の罠
構造が似た物質でも毒性の強さは同じではありません。「似た物質だから同じ危険性」と短絡的に判断せず、物質ごとの特徴を個別に押さえる必要があります。

他の選択肢が不適切な理由
トルエンに毒性が全くないとする記述は、蒸気を吸うと頭痛やめまいを起こす急性の中毒があるため誤りです。どちらも無毒とする記述は、両者とも有機溶剤中毒の対象となる物質であり、明確に事実に反します。トルエンのほうが毒性が強く微量でも造血機能を損なうとする記述も、造血機能への障害が問題とされてきたのはベンゼンのほうであり、強さの関係が逆になっています。
問94-11

トルエンやキシレンなど芳香族炭化水素の蒸気の性質に関する記述として、正しいものはどれか。

  • 蒸気は空気より重く、低い場所に滞留しやすい
  • 蒸気は空気より軽く、天井付近に滞留しやすい
  • 蒸気は空気とほぼ同じ重さで、特定の場所に滞留しない
  • 蒸気にはほとんど臭いがなく、漏えいに気づきにくい
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正解 蒸気は空気より重く、低い場所に滞留しやすい
解説
トルエン(分子量92)、キシレン(分子量106)はいずれも空気の平均分子量(約29)より大きいため、蒸気比重は1を大きく上回ります。そのため発生した蒸気は床面や地下ピット、マンホール内などの低い場所にたまりやすく、離れた場所の火気に引火して火が戻る危険があります。これは第4類危険物に共通する性質です。

試験の罠
芳香族炭化水素は特有の強い芳香臭を持つため、「臭いで気づける」と油断しがちですが、高濃度の蒸気を吸い続けると嗅覚が麻痺し、気づかないまま中毒に至ることがあります。

他の選択肢が不適切な理由
蒸気が空気より軽いとする記述は、分子量を空気のおよそ29と比べれば明らかに大きく、計算とも実際の挙動とも合いません。空気とほぼ同じ重さで滞留しないとする記述も、低い場所にたまって離れた火気へ届くという現実の事故の起こり方と食い違います。臭いがほとんどないとする記述も、これらが強い芳香臭をもつ物質である点と異なります。
問104-11

灯油・軽油とトルエン・キシレンの分類上の違いに関する記述として、正しいものはどれか。

  • 灯油・軽油・トルエン・キシレンはすべて第1石油類に区分される
  • 灯油・軽油・キシレンは第2石油類、トルエンのみ第1石油類に区分される
  • 灯油・軽油はアルコール類、トルエン・キシレンは第2石油類に区分される
  • 灯油・軽油・トルエン・キシレンはすべて第3石油類に区分される
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正解 灯油・軽油・キシレンは第2石油類、トルエンのみ第1石油類に区分される
解説
石油類の区分は化学的な系統(炭化水素か芳香族かなど)ではなく、あくまで引火点の高低で決まります。灯油(約40℃以上)・軽油(約45℃以上)・キシレン(約27〜33℃)はいずれも引火点が常温を上回るため第2石油類、トルエン(約4℃)は常温を下回るため第1石油類に区分されます。

試験の罠
「似た用途・似た構造の物質は同じ分類」という思い込みは危険です。指定数量や分類は個々の物質の引火点で決まるという原則を、芳香族炭化水素でも徹底して確認してください。

他の選択肢が不適切な理由
四つとも第1石油類とする記述は、灯油や軽油の引火点が40℃を超える点を無視しています。灯油と軽油をアルコール類とする記述も、これらが水酸基をもたない炭化水素の混合物である以上成り立ちません。四つとも第3石油類とする記述も、その区分は引火点70℃以上のものを指すため、常温付近で引火するトルエンを含めることはできません。

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